本作品は装飾的文様の構成要素として、CGに おける形状表現技法の一種であるメタボールを用 いている。メタボールとは空間上に定義された複数 の電荷における等電荷領域を共通面と見なして閉 曲面を描画するもので、図にあるように球体同士が 滑らかに融合するような形状が得られるものであ る。
本作品ではメタボールを二次元で用いており、 その際、独自に考案した逐次閾値判定というアルゴ リズムを用いている。これにより従来とは異なる複 雑な図形が描画できる。また、メタボールの濃度分 布は球や円だけでなく、様々な形状が利用可能で ある。実際に本作品では正多角形の濃度分布を使 用している。
前述した二次元メタボールは、実際には二次曲 面(球面)上における文様として描画される。そのた め、二次元直交座標系で得られた文様を球座標系 に変換している。その際、メタボールの濃度情報に 応じて擬似的なレリーフ調の効果を計算して与えて おり、それにより精緻な装飾的文様を表現している。
総合的なレンダリング(描画)はレイトレーシン グ(光線追跡法)という比較的実装の容易なアルゴ リズムを用いている。その際、二次レイ以降を先に 描画し、その深度に応じて描画結果にガウスブラー を施したものを一次レイに読み込んでいる。それに より、すりガラス調の半透明効果を擬似的に得てい る。