EXHIBITION C-DEPOT 2010 旅 -voyage-: 13 高山穣アーカイブ

13 高山穣の「旅 -voyage-」

TICKET : 高山穣|TAKAYAMA Joe

Posted:2010年7月 4日 19:06

出発地/from:
行き先/to:
エマージング・メディア アドバンスト・コンテンツ
経由/via:アルゴリズム
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二年間、テキサスの広大な大地を放浪し、いろいろなものを見てきました。赤土 の荒野に落ちる稲妻の群れ、地平線の果てまで咲き乱れるブルーボネットの花 畑、どこまで行っても途切れる事のない退屈な郊外の町並み。この長い旅の途 中、ホリデーシーズンになると店先で売り出される見事な装飾品(クリスマス オーブ)に着想を得て、その日の気分で数式やプログラムを書き続け、CGアニ メーション作品「Orb」を制作しました。

ちょうど今、リアルに旅をしていて、LA(ロサンゼルス)から書き込んでいます。

takayama01.jpgのサムネール画像

LAは2年に一度ぐらいの割合で訪れていますが、来るたびに大きな変化があり、新陳代謝の激しい街です。今回もダウンタウンのスカイラインに新たなビルが加わりました。サンタモニカ周辺も再開発が進んでいるようです。

takayama02.jpgのサムネール画像

さて、旅行とは言っても今回は観光目的ではなく仕事で来ていて、SIGGRAPH(シーグラフ)というCGの学会に参加しています。

takayama03.jpgのサムネール画像

5年前に同じ学会で発表した技術が、今回横浜で展示上映するアニメーション作品の基になっています。今にして思うと、ここから全てが始まったような気がします。「研究」という長い旅の始まりです。

あれから5年、LAの街と同じように、自分の技術も作風も、そして自分を取り巻く環境も大きく様変わりしました。次にLAを訪れるのは2年後。まだまだ「研究」の旅は続きます。

Decorative Orbs - 作品の元ネタ - 高山穣

Posted:2010年8月 2日 22:20

アメリカに住んでいた頃、日本にはないゴテゴテした装飾品が好きで
仕事が休みの時にはよくインテリア雑貨店を巡っていました。
その中でも特に、球面に装飾を施したボール(Orb)を集めていました。

orbs.jpg

大小、様々なものを集めて、日本へ帰る頃には50個ぐらいにはなったと思います。
なかなか見事な装飾なので、ここからインスピレーションを得て
数式とプログラミングのみでCG映像として表現したのが
今回のC-DEPOTで展示上映する作品「Orb」です。
完成したものはぜひ会場でご覧下さい。

Orbの軌跡 -高山穣-

Posted:2010年8月 6日 12:28

pic1.jpg
本作品は装飾的文様の構成要素として、CGに おける形状表現技法の一種であるメタボールを用 いている。メタボールとは空間上に定義された複数 の電荷における等電荷領域を共通面と見なして閉 曲面を描画するもので、図にあるように球体同士が 滑らかに融合するような形状が得られるものであ る。

pic2.jpg
本作品ではメタボールを二次元で用いており、 その際、独自に考案した逐次閾値判定というアルゴ リズムを用いている。これにより従来とは異なる複 雑な図形が描画できる。また、メタボールの濃度分 布は球や円だけでなく、様々な形状が利用可能で ある。実際に本作品では正多角形の濃度分布を使 用している。

pic3.jpg
前述した二次元メタボールは、実際には二次曲 面(球面)上における文様として描画される。そのた め、二次元直交座標系で得られた文様を球座標系 に変換している。その際、メタボールの濃度情報に 応じて擬似的なレリーフ調の効果を計算して与えて おり、それにより精緻な装飾的文様を表現している。

pic4.jpg
総合的なレンダリング(描画)はレイトレーシン グ(光線追跡法)という比較的実装の容易なアルゴ リズムを用いている。その際、二次レイ以降を先に 描画し、その深度に応じて描画結果にガウスブラー を施したものを一次レイに読み込んでいる。それに より、すりガラス調の半透明効果を擬似的に得てい る。