展覧会

アイコンとしての色地図

第2回目となるEXHIBITION C-DEPOT 2004 では、「色」をテーマとした。作品は、絵画、立体、映像、メディアアートなど多様であるが、C-DEPOT全体として提示するものは、素材と媒体との結びつきによる色である。赤において、例えば顔料と紙とで生じる赤とモニターの画面にあらわれる赤とが異なって見えるように、一つ一つの作品の素材と媒体の関係によって生じる色のかたちに注目していただきたい。 色彩学では色相環に見られるように、数値によって色地図が作成されている。記号学者のパースの概念を借りれば、このような色の数値的、座標的捉え方は、世界共通に理解できる「インデックスとしての色地図」であるといえるだろう。
一方でこうした数値的なものとは別の色地図を日本人は作りあげてきた。日本人は青の中にでさえ、月草、露草、群青色といった風土に結びついた色を見出してきた。こうした詩的な色地図は、日本のことばの世界観をもとに作られており、日本の風土を理解したもののみが活用できる感覚的な「シンボルとしての色地図」であるといえるだろう。
視覚芸術に携わるC-DEPOTは、こうした2つの色の枠組とは異なる別の色地図を作成することを今回試みた。それが「アイコンとしての色地図」である。
アイコンはある対象を類似的に表現したものである。パソコン画面上でアイコンをクリックすることで一つ奥の階層へいけるように、アーティストが自身の作品の層へと導くアイコンをそれぞれ色によって見出し、視覚的に提示している。こうしたアイコンとしての色の集合体は、観る者と作品とを結びつける今までにない地図となるであろう。C-DEPOTが作成した色地図を探索することで、数値でもことばでもない、人が眼を通してのみ感知することができる「色」を体感していただきたい。(アワタダイスケ)

コメント

中島千波 (画家)
「C-DEPOT」と名付けた若手芸術家集団が第二回展を横浜赤レンガ倉庫で催すという。同世代の若者達は、絵画、立体、映像、メディアアートと様々な表現手段をもって現代ー今ーを表現しようとしている。
考えて見れば当り前の事である。今、食べ頃の若者達がー今ーを表す事は、自分達の存在理由を示す事である。人間に具わった一番重要で大切な表現方法なのである。
固定概念を捨て去り、新しい見方を造り上げるのである。又、思考錯誤を繰り返すのである。気力、体力が有る若い時代に様々な実験をする事で、未来の自分が在るのである。芸術表現に柵など無いのである。あるとすればそれは過去の幻影でしか過ぎないのである。
今展で現代社会や人間性と色々な現象的側面が見へ、日本人のアイデンティティがどの様に見られるか今から楽しみにしている。そして、久し振りに元気の良い若者達に対し、応援したい気持ちである。
"ole!!"


日比野克彦 (アーティスト)
個人で行なう作業が基本であるけど、それには理由がある。
バラバラの価値観をそれぞれが持っているから一緒に作るには不自由であるから。
個人で行なう作業が基本であるけど、それには理由がある。
互いが集まった時に、互いに刺激を受け合う、その時により刺激を受けるため。


中谷 日出 (NHK解説委員)
近年のコンピューターをはじめとしたテクノロジーの進化は、様々な世界を大きく変えている。それはアートの世界も同様だ。これまでも技術の進化が、アートの表現やその様式を変えてきたように、コンピューターテクノロジーはアートの表現を大きく変えアーチストたちの意識をも大きく変えている。この展覧会はそんな新しいく変容した意識を表現やその行為に乗せ、未来につなぐアート表現として、非常に興味深いものになっていると想う。各アーチストたちの新しく生まれた意識(作品)を感じていただきたい