展覧会

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  • イントロダクション

〈微かな引力〉が立ちあがる瞬間(とき)
私たちが《present=プレゼント》を選ぶとき、顔であったり性格であったり、どこか相手のことを思い浮かべている。自分で選んでいながら、相手にも依存している《プレゼント》という存在。そこには、〈贈る私〉と〈贈られる相手〉との関係でしか成り立たない〈微かな引力〉のようなバランスが作用している。
《present=今、現在》という感覚も、実は〈私〉と〈まわりのもの〉との〈微かな引力〉のバランスで成り立っているのではないだろうか。テーブルやその上に置かれたコップ、座っている椅子や触れている床。意識を向けてみれば、私たちは驚くほど多くのものとのバランスに囲まれている。これら〈微かな引力〉の重なりが、まるで月の引力が海の満ち引きを起こすかのように、私たちに《今、現在》という感覚を立ちあがらせている。
EXHIBITION C-DEPOT 2007では、こうした日常に潜んでいる〈微かな引力〉を絵画、イラストレーション、立体、工芸、映像、メディアアートなど、さまざまな視覚表現によって浮かび上がらせている。私たちが、何気なく感じているはずの《プレゼント》を贈る気持ちやふと思い起こす《今、現在》という感覚。〈私〉と〈作品〉との間に〈微かな引力〉が立ちあがる瞬間、こうした《present》に似たいくつもの感覚が、私たちのカラダを包んでくれる。
text by AWATA Daisuke