C-DEPOTのパトロンを訪問 (vol.02)
竹本容器株式会社 工場見学
竹本容器は、食品や化粧品の樹脂製容器を製造している日本有数の企業である。
基本理念として“日本と世界の器文化に貢献する”ことを掲げている竹本容器は、創業以来56年の積み重ねがあり、千数百種類もの金型を誇り、どんな形、材質、要望にも対応できるノウハウがある。そしてその強みを活かしながら品質や機能のカスタマイズによって、ニーズに応えている。一番の特徴は、顧客に「レディメイド」を提供する、ということ。レディメイドとは、つまりはオーダーメイドの反対語のことである。かつてはオーダーメイドが中心だったボトルの分野で、多種多様な“既製品”を用意したことで、小ロットでの販売が可能になり、金型やデザイン開発のコスト削減、納品時間の短縮など、大きなメリットを顧客側は得ることができるようになっている。プラスチックが中心だが、ガラスやエコロジー樹脂、紙などいろいろな素材にも幅を広げている。
「工場見学」という言葉は、何とも少年心をくすぐる響きがある。待ちに待ったこの日が来た!という気持ちは日常ではなかなか味わえない。朝8時半、通勤ラッシュの時間に上野駅付近に参加希望をしたC-DEPOTメンバーが集合する。一同用意していただいた車に乗り込み、茨城県にある結城工場に向かう。移動中、今回の機会をセッティングしてくれた執行役員の竹本えつこさんに「製造過程で撮影したらまずい企業秘密とかはありますよね?」と尋ねると「何もないですよ。うちはオープンなんで」「え、いいんですか?」そんな会話のやりとりが印象に残っている。
一行はまず応接室に案内され、製造の責任者の方からのご挨拶。一通り自己紹介のあと、簡単に企業の特徴、工場のことなどを説明していただく。製造過程の容器サンプルを見せていただき、それらの説明をうける。普段何気なく使っている容器を違った視点で見るのは、新鮮な感覚だ。企業のパンフレット、工場の図面など資料をいただき簡単に目を通す。そして皆専用の白衣?(髪の毛やホコリをまき散らさぬよう)着用。工場見学っぽくなってきた!
入ってまず驚くのは、衛生管理の徹底ぶり。虫やホコリなどの異物混入に対しての対策に一切の抜かりはない。100%目視によって検査しており、2日に一回は金型を交換し、磨きなどのメンテナンスは手作業で行っているという。見えない部分でも怠らない。品質と信頼を保つための模範的な姿勢にとても感心。
「このこだわりが日本のモノ作りのクオリティを支えているのだな」と妙に納得してしまう。
それが正直な感想だった。
印刷工場に入ると、グラフィックデザイナーの堤氏の目の色が変わる。やはりデザイナーにとって印刷の現場というのは最も興味深い対象なのだろう。
工場見学後、合羽橋にある本社に訪問。企画開発部の方々とご挨拶し、竹本さんの粋な計らいで懇親会を開いていただくことに。みなさん面白すぎ。笑いっぱなしで時間が経つのはあっという間。
帰り際、「お互いがんばりましょう」と竹本えつこさんと固く握手を交わし、上野駅を後にした。(2008/8/8)
