末宗美香子、ビオトープと出会う
そう思っていた所、仕事でお世話になったライターのY氏より田植え体験のお誘いを受け、ゴールデンウイークに千葉県鴨川市にある「星ヶ畑棚田」で行われた田植えに友人と参加しました。
現地までは久里浜フェリー(朝1番のフェリー乗船者はほとんどがゴルフバッグを持った方々です。。。)、内房線など乗り継いで4時間近い道のり。集合場所は棚田を見下ろすお寺の境内。大人から子供まで、100人以上が集まりました。多くは東京などの都会在住者のようです。1年間に渡りいくつかのグループがここの棚田を借りて田植えから収穫までを体験できます。
不定形の田んぼが段々にいくつも広がり、大きな田んぼからかなり小さい田んぼまで、皆でわいわいとスタートします。
まずは泥の中にそろそろと足を。。「ひゃあ。。生温い~。でもなんとも気持ち良い~~!!」初めて見る稲の繊細さに驚き、思いがけない泥の感触の良さ、水の中に蠢くオタマジャクシ等々、、。
なんだか懐かしい気持ちに。こんなに繊細な稲がぐんぐんと成長するのかあ。。。と思うとなんとも逞しく、ありがたく感じます。
一つの田んぼに規模に合わせて6人~10人くらいが横並びになり、稲を植える目印の糸を移動させながら皆ですこしづつ進んで行きます。田んぼの土手を壊さないようにとレクチャーで指導されたにもかかわらず、おぼつかない動きのため見事に破壊。。。注意されながら土手を直したり、
デジカメを落としそうになりながらもわいわいと作業は進みます。もうちょっとやりたいなあ。。。と思った頃に全ての田植えが終了。
あぜ道を子供達が走り回る様子は「日本昔話」(TBSのアニメ)の世界。。。大人も泥にまみれて皆さん楽しそう。作業終了後は素晴らしい景色の中、お弁当や農家の方からの差し入れの夏みかんを戴きました。この稲が炎天下をぐんぐんと成長していく姿を想像しながら。。。
田んぼは遥か昔の人々が地形や気候を活かして考えだした人口自然がこの時代にも受け継がれていることの凄さ。完成度の高い一つの形態=稲作、を作り上げるまでの過程には、お米と同じく粘り強い人間の意志を感じます。しかも実用という目的でありながら、棚田や田んぼの四季折々の姿はとても美しくもあります。
今度訪れるのは収穫の頃。しかも収穫祭では猪鍋?バーベキュー?とか。実に待ちどおしい。。。(2009/5/3)
全国の散在する棚田は、その生産効率の悪さから消滅の危機を迎えています。
ですが、棚田は食料生産としての場だけではなく、その下方にある自然体系の保全など様々な役割をしているビオトープでもあります。
今回の「田植え体験」は農業の現場に趣くことで、これからの日本の未来を考えるきっかけになればと考え、株式会社クロス、有限会社ユニットクワトロが棚田を借りることによって実現しました。

アーティスト
独特の感性と色彩で、キッチュでポップな「異空間の住人」を描くアーティスト。
「ファッション」と「デザイン」を感じさせる、センスの高さに定評があり、その可能性はアートの枠に留まらない。